本研究では、パラミクソウイルスの増殖に必須であるRNA依存性RNAポリメラーゼタンパク質(Lタンパク質)とその補因子であるPタンパク質の結合部位を同定し、補因子Pとの結合阻害によるウイルス増殖へ与える影響を明らかにし、治療薬への可能性を探るとともに、Lタンパク質の構造を解析し、ウイルス感染症治療薬開発に役立てることを目的とする。本年度明らかに出来たことは、1) FLAGを付加したPタンパク質の免疫沈降結果から、Lタンパク質上のPタンパク質結合予想部位2カ所、N末端480アミノ酸、C末端374アミノ酸について、N末端側は共沈するが、C末端側は共沈しないことがわかった。これは、N末端側480アミノ酸がより強くPタンパク質と結合していることを示している。2) Lタンパク質とPタンパク質の結合力が予測より弱かった為、免疫沈降における解析では、Pタンパク質上の結合部位の詳細な解析が出来なかった。このため、結合力を解析する他の方法としてmammmalian two hybridの系を作製した。3) mammalian two hybridの系による解析から、N末端480アミノ酸、C末端374アミノ酸ともにPタンパク質のC末端と相互作用していることがわかった。しかし、Pタンパク質のmultimeraizationドメインを削除すると作用しなくなることから、Pタンパク質単量体の状態ではLタンパク質と作用できないことがわかった。
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