研究概要 |
本年度の研究では、Lタンパク質とPタンパク質の結合部位の同定を目的として、Lタンパク質N末端480アミノ酸と相互作用するPタンパク質部位をmammaliantwohybrid法で解析した。Pタンパク質C末端のアミノ酸は20アミノ酸削ったところでLタンパク質N末端との作用が低下した。このことから、Pタンパク質はC末端でLタンパク質N末端と相互作用していることが明らかになった。また、Pタンパク質のmultimerizationドメインを削除すると作用しなくなることから、Pタンパク質単量体の状態ではLタンパク質と作用できないことがわかった。このPタンパク質のmultimerizationドメインからC末端の過剰発現がウイルス増殖に影響するか調べるために、ルシフェラーゼ遺伝子を持つ麻疹ウイルスミニゲノムとN,L,変異を導入したPタンパク質をほ乳類細胞に発現させ解析したところ明らかな影響は認められなかった。また、P-L結合部位を含むLタンパク質の構造解析を目的として、Lタンパク質の大量発現系を大腸菌で検討した。Lucプロモーター下流で発現するpETベクターとほ乳類コドンを補完した大腸菌株Rosettaの組み合わせで発現検討を行ったところ少量のタンパク質発現が認められたが、タンパク質は封入体を形成した。このため、発現量を増加させるためLタンパク質をコードする遺伝子を大腸菌のコドンに適応させた遺伝子合成を行った。また、タンパク質の可溶性を増加させるため低温で発現するpColdベクターとシャペロンタンパク質を発現する大腸菌株の組み合わせで発現検討を行った。結果、シャペロンタンパク質と融合発現するpColdTFベクターを使用することでLタンパク質が可溶性タンパク質として得られ、大腸菌コドンに適応させたLを用いたことで大量発現が可能になった。
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