研究課題
慢性肉芽腫症(CGD)における過剰炎症反応の機序を明らかにするため、CGDの変異型CYBB遺伝子が炎症機序に与える影響について検討した。同一のiPS細胞へ異なる変異型CYBB遺伝子を導入し機能解析を行うことで、CYBB遺伝子以外の遺伝的素因を除外できる。そこで、倫理面を重視しCGDモデルマウス由来iPS細胞へヒトCYBB遺伝子を導入した。しかし、分化誘導された造血幹細胞は正常CYBB遺伝子由来gp91phox蛋白や活性酸素産生を認めなかった。これによりCGD患者由来iPS細胞を用いた研究の必要性が明らかとなった。そこで、患者iPS細胞を用いた研究を想定し準備を開始した。今後、CYBB遺伝子を全欠損したCGD患者から樹立したiPS細胞を用いて、変異型CYBB遺伝子の機能解析を行う予定である。しかし、これまでの研究から、iPS細胞研究では分化した細胞が生体内の細胞機能を再現する点が重要になる。そこで、CGD患者末梢血の細胞機能を解析し、患者iPS細胞研究の疾患再現モデルとなる免疫学的な特徴を明らかとした。CGDでは末梢血CD27+CD19+メモリーB細胞の著明な低下が認められたが、クラススイッチの障害はみられなかった。B細胞ではわずかにgp91phoxが発現するが、その役割についてiPS細胞を用いた検討が有用と思われる。また、単球ではNFκBやNLRP3インフラマソームを介したシグナル伝達経路に活性酸素が関与するためCGDでは炎症性サイトカイン産生能が亢進すると考えられた。CGDにおける肉芽腫形成や炎症の機序について、単球など免疫担当細胞の機能異常とともに、樹状細胞においても活性酸素がシグナル伝達分子として作用する可能性が示された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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