研究課題
本研究計画においては以下の4点を研究計画に掲げ、平成22年度では、(1)と(3)を行った。(1)PWS発症原因解析、(2)PWSにおける表現計-遺伝型の関連の解析、(3)PWS病因構成比率の変化の統計学的解析、(4)生殖補助医療とPWS発症の因果関係の解明(2)、(4)については引き続き平成23年度に実施する予定である。(1)に関して、PWS162症例の分子遺伝学的解析(FISH解析、マイクロサテライト解析、MLPA法)を通じ、116例の父性由来15番染色体PWS領域の欠失、32例の15番染色体母性片親性ダイソミー(うち、第1減数分裂不分離後のtrsiomy rescueによるもの19例、第2減数分裂不分離後のtrisomy rescueによるもの9例、monosomy rescueによるもの4例)、エピ変異2例、染色体構造異常を有する3例、インプリンティング調節領域の微小欠失1例を同定した。(3)に関して、近年の高齢出産傾向を反映して、第1減数分裂不分離後のtrisomy rescueによるupd(15)matが増加することが推測されるため、発症原因別の患者群における患者出生時母親年齢の比較と、高齢出産傾向がより顕著となった2003年前後における第1減数分裂不分離後のtrisomy rescuc患者(TR【M1】群)の相対的頻度の比較を行った。その結果、患者出生時母親年齢は、TR【M1】群で(中央値37歳、範囲35-45歳)、欠失群(30歳、19-42歳)に比し、有意に高年齢であった(P=1.0×10^<-07>)。また、欠失群とTR【M1】群の相対的頻度は、2002年以前(欠失80.0%、TR/GC【M1】4.0%)と2003年以降(欠失57.1%、TR/GC【M1】28.6%)の間で有意に変化していた(P=1.8×10^<-07>)。出産年齢の上昇は、第1減数分裂時の不分離とTrisomy rescueを介したupd(15)matの相対的増加に関与していると考えられる。
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