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2011 年度 実績報告書

胎生期アルコール曝露による不安障害の機序を探る~不安発現と脳局所的5-HT動態~

研究課題

研究課題/領域番号 22791029
研究機関香川大学

研究代表者

太田 健一  香川大学, 医学部, 助教 (50403720)

キーワード胎生期アルコール曝露 / セロトニン / セロトニン受容体 / 不安・恐怖 / マイクロダイアリシス
研究概要

前年度の結果から、胎生期エタノール曝露がセロトニン(5-HT)神経系の働き、特に5-HT1A受容体を介した作用の低下を引き起こし、それが不安様行動の異常に関与している可能性が示された。本年度は、胎生期エタノール曝露動物の不安様行動の異常が引き起こされる機序を更に追求するため、5-HT神経系を中心とした投射域レベルでの解析を行った。
SDラットを用いて、曝露群には妊娠10-20日の間に2.5-5.0%エタノールを含む液体飼料を与え、対照群にはエタノールを等カロリーのショ糖で置き換えた液体飼料を与えて、それぞれの仔を各解析に用いた。まず胎生20日齢で各群の脳を採取し脳発達に関連が深い5-HT受容体発現(5LHT1A、2A、2C)をRT-PCRにて解析した。胎生期エタノール曝露群では5-HT1A受容体を含むすべての5-HT受容体の発現量が減少しており、これら受容体を介した5-HT機能が低下している可能性が示唆された。
次に我々は、不安様行動試験による脳内5-HT動態の変化を解析するために高速液体クロマトグラフィーにて脳内5-HT及びその代謝産物である5-ハイドロキシインドール酢酸(5-HIAA)量を行動試験前後で調べた。対照群にはほとんど変化が認められなかったが、胎生期エタノール曝露群では行動試験前後で5-HTと5-HIAA量に変動が認められ、行動試験後は減少傾向が見られた。そこで更にマイクロダイアリシスによって同様の行動試験中における内側前頭前皮質での5-HT動態を10分間隔で解析すると、胎生期エタノール曝露群では試験中の5-HT上昇が対照群よりも遅く、試験後の5-HTの減少傾向が認められた。
これらの結果から、胎生期エタノール曝露は5-HT受容体発現を減少させて発達期の5-HT機能を低下させ、その影響は成熟後も5-HT神経系の機能異常として残るものであることが示唆された。このような5-HT神経系の機能異常が胎生期エタノール曝露による不安様行動異常の原因の一端となっていると考えられる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Can ipsapirone, a serotonin 1A receptor agonist, mitigate a developmental defect of the serotonergic system caused by prenatal exposure to ethanol?2011

    • 著者名/発表者名
      Kanai T, Sakata-Haga H, Ohta K, Fukui Y
    • 雑誌名

      Congenital anomalies

      巻: 51(4) ページ: 8

    • DOI

      10.1111/j.1741-4520.2011.00340.x

  • [学会発表] セロトニンIA受容体作動薬はエタノールによるセロトニン神経系発達障害を防ぐことができるか?2011

    • 著者名/発表者名
      金内友宏
    • 学会等名
      第51回日本先天異常学会学術集会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20110722-20110724

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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