研究課題
妊娠中のサイトメガロウイルス(CMV)初感染は、多くの胎児に先天性感染を引き起こす。顕性感染では精神発達遅滞や聴覚障害などが認められる。先天性CMV感染の80%は不顕性感染であるが、成長に伴い聴覚障害などを発症する例もある。初感染のみでなく、妊娠中に中和できないタイプのCMVに重感染すると、既感染妊婦でも先天性CMV感染は起こりうる。我々の研究室ではCMVのgH領域に対する血清抗体から感染しているCMV型を判別できるELISA法を有しており、また前年度までにCMV型判別用のリアルタイムPCR法を開発した(J Clin Microbiol 2012)。健常妊婦344人におけるCMV抗体保有率は68%であり、型別抗体保有率はCMV-ADが41%、CMV-Toが18%、重感染が6%であった。gHに対するIgG抗体のサブタイプはIgG1とIgG3に偏っており、胎児に移行抗体として運ばれうるサブタイプであった。胎児における感染防御を担っていることが示唆された。先天性CMV感染において、顕性感染では移行抗体となりえないIgGサブタイプに偏りがあると仮定して検証を行ったが、顕性感染へのリスク因子として見出すには至らなかった。CMV感染児における尿中CMV型、また児と母親におけるCMV血清型の検討を行った。血清型の検索により見つかった重感染を精査したところ、当初認められていた2つの型(CMV-ADとCMV-To)のCMV抗体のうち一方(CMV-To)が生後1か月以降消失した例を確認した。尿中ウイルスが1種類(CMV-AD)であることからも、消失した抗体は移行抗体であったと考えられる(in submission)。CMVの重感染例でも先天性CMV感染が起こり、異型の移行抗体では防御できていないことが明らかに出来た。今後は病原性に寄与しうるCMV型を特定・解析出来る方法の確立に努めたい。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of the Science of Food and Agriculture
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Human Vaccines and Immunotherapeutics
Fukushima Journal of Medical Science
Microbiology and Immunology
巻: 56 ページ: 805-809