研究概要 |
胎児期の低栄養やインスリン抵抗性が早産児における腸管機能、消化管ホルモン分泌に及ぼす影響について研究を進めるにあたり、まず早産児における日齢3のインスリン抵抗性および感受性の指標(HOMA-IR、QUICKI)と在胎週数、出生時の体格との関連について検討した。その結果、在胎週数とHOMA-IR, QUICKIの間に有意な相関を認め、未熟性がインスリン抵抗性に影響を及ぼしている可能性が示唆された。さらに、出生体重1,500g以下の極低出生体重児を対象に日齢0、3において同様の検討を行ったところ、子宮内発育不全のため出生体重基準値からの標準偏差が低く、胎児期低栄養の程度が強いほど生後早期のインスリン抵抗性の指標はむしろ低いとの結果を得た。また、NICU退院前の早産児を対象に同様の検討を行ったところ、出生週数の早い低出生体重児ではインスリン抵抗性が高いとの結果を得た。これらの検討より、未熟性や胎児期低栄養は生後早期から退院前の早産児におけるインスリン抵抗性に影響を及ぼしていることが証明された。次年度は胃電図(哺乳前、哺乳後2時間での測定)や腹部超音波による上腸間膜動脈などの血流測定を用いて胎児期低栄養やインスリン抵抗性が早産児の腸管機能に及ぼす影響について検討を進めていく予定である。
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