1)ラット胎児の動脈管切片の作成:動脈管は胎内では開存しているが、出生後、呼吸の開始とともに収縮が始まる。動脈管の閉鎖機序を調べるためには開存したままの動脈管(妊娠19日目と21日目)と閉鎖後(22日目)の動脈管を調べる必要がある。まず、ラットの胎児を帝王切開で娩出後、動脈管そのものを切り出した。その後、胎児を娩出後、直後に全身凍結ブロックを作成し、切片を作成した。 2)動脈管の器質的閉鎖におけるにおけるPI3-キナーゼ/Akt系を調べるために、蛍光染色を行った。動脈管の閉鎖過程において、PI3-キナーゼ/Akt系の抑制因子であるPTENの発現が、内皮細胞で劇的に増加することを見出した。 3)ラット胎児の動脈管を、未熟児(妊娠19日目)、満期(21日目)、出生後(22日目)に取り出し、RNAを抽出し、約3万個の遺伝子解析を行った。対象は、大動脈の遺伝子量の変化と比較した。結果を、DAVID Bioinformatics Resourcesを用いて解析した。糖代謝、細胞周期、細胞死との関連を示すことができ、今後の動脈管研究の道しるべとなる結果を得ることが出来た。
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