本研究では、WGEFのノックアウトマウスを作製し、Wnt-PCP経路や神経管の形態形成との関係を遺伝学的に解析することを目的に、WGEFコンディショナルノックアウトマウスの作出を行っている。本年度は、まず、キメラマウスとC57BL/6マウスと交配を継続したが、WGEF: flox-neo/+ alleleを持つ個体が得られなかった。このことより、別のES細胞クローンを単離することが必要であることがわかった。これまでのスクリーニングの結果から、現在使用しているターゲティングベクターでは、ES組み換えクローンの頻度が非常に低いことがわかっている。そこで、コンデショナルノックアウトにおいて標的とするCre依存的な欠失遺伝子座をWGEFの活性ドメインであるDHドメインへ変更したターゲティングベクターおよび、標的とする領域を上流側にシフトしたターゲティングベクターを再デザインした。これらのターゲティングベクターをBAC組み替えを用いて再構築し、それぞれをRENKA株C57BL/6由来のES細胞に導入しスクリーニングを行った。その結果DHドメインへ変更したターゲティングベクターではノックアウトalleleを持つクローンが単離できなかったのに対して、標的とする領域を上流側にシフトしたターゲティングベクターでは7クローンのノックアウトalleleを持つクローンが単離できた。これらのクローンの組み替えはPCRおよびサザンブロットで確認し、正しく組み替えが起こっていることが確認できた。これらの内4クローンについて、アグリゲーション法を用いたキメラマウス作製を行い、WGEFコンディショナルノックアウトマウスの作出をすすめる予定である。
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