研究概要 |
尋常性乾癬は厚い鱗屑と血管拡張を伴う紅斑を特徴とし、炎症性角化症に分類されている皮膚疾患である。病因として多因子遺伝、免疫学的異常、ケラチノサイトの分化、増殖異常などが言われているが、その病態の多くは不明である。乾癬はIFNr-γを分泌するTh1細胞が重要なTh1系疾患とされてきたが、近年、IL-17を分泌するTh17細胞が重要とされている。最近発見されたIL-27はTh1の誘導とTh17の抑制に重要なサイトカインであり、本研究では乾癬の病態形成におけるIL-27の重要性を検討した。まず、東大病院皮膚科通院中の乾癬患者、健常人の血清中IL-27,IFN-γ,TNF-α, IL-12p40, IL-17をELISAで測定し、血清中IL-27が乾癬重症度スコアPASIまたは他の血清中サイトカイン濃度と相関するかを検討した。結果,乾癬患者における血清IL-27は健常人に比べ、有意に高値であり、PASIとの相関を認め、さらに血清IFN-γと相関していた。次に、乾癬病変部皮膚のIL-27産生細胞の検討のため、乾癬患者、健常人、アトピー性皮膚炎患者の皮膚組織をIL-27で染色した。結果,IL-27陽性細胞は乾癬患者皮膚組織の真皮乳頭層に浸潤していた。この細胞は健常人,アトピー性皮膚炎患者の皮膚組織では認められなかった。以上よりIL-27は乾癬の病勢を反映するサイトカインであり、乾癬の病態に関わることが示唆された。
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