研究概要 |
角層を剥離した皮膚では皮膚ランゲルハンス細胞が活性化され、かつ菲薄化した角層からの物質の浸透性が高まることが分かっている。角層を剥離し、マイクロニードルでワクチン素材を投与すればアジュバントを用いることなく高いワクチン効果が得られると考えた。ラットを用いて、抜毛処理、角層剥離後、麻疹ワクチンをマイクロシリンジに装着したマイクロニードル型ワクチン接種機器により投与し、血清中の抗体価を測定した。 実験内容 ラットの背部に1000μmの針と1500μmのマイクロニードルを使用し麻疹ワクチンを10μl、20μl、30μl、それぞれ3匹ずつ投与した。漏れた薬液を綿棒にて吸い取り、その重さから漏れた量、投与できた量を確認した。また麻疹抗体価を投与22,29、36日目に測定した。 (1)1000μmの針を使用した群ではワクチンの漏れが多く、実際のワクチンの投与量は、平均で予定量の50.4%しか投与できなかったが、1500μmの針を使用した群では、平均で予定量の93.3%を投与することができた。 (2)1000μmの針を使用した群の結果(投与36日目)EIA法 麻疹ワクチンを10μL投与したときの抗体価の平均は8.6 麻疹ワクチンを20μL投与したときの抗体価の平均は13.2 麻疹ワクチンを30μL投与したときの抗体価の平均は8.9 (3)1500μmの針を使用した群の結果(投与36日目) 麻疹ワクチンを10μL投与したときの抗体価の平均は13.4 麻疹ワクチンを20μL投与したときの抗体価の平均は17.0 麻疹ワクチンを30μL投与したときの抗体価の平均は16.1であった。 当初は角質をはがし、100~500μmの針を用いてワクチン注入を試みたが、ワクチンを十分に注入することが不可能であった。上記の結果より、ニードルを1500μmとする方が適切であると考えられた。
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