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2010 年度 実績報告書

骨髄移植モデルを用いたGVHD及び接触皮膚炎の病態解明

研究課題

研究課題/領域番号 22791067
研究機関京都大学

研究代表者

江川 形平  京都大学, 医学研究科, 助教 (50511812)

キーワード皮膚樹状細胞 / 接触皮膚炎
研究概要

表皮に存在するランゲルハンス細胞は、抗原提不細胞として様々な皮層免疫反応に関わる。従来、接触過敏反応における経皮感作の成立に必須の存在であると考えられてきたが、近年の研究では、ランゲルハンス細胞を除去しても経皮感作が成立すること、また、移植片対宿主反応(GVHR)においては、ランゲルハンス細胞がドナーT細胞のターゲットになっていると報告された。本研究では、これらの皮膚免疫反応におけるランゲルハンス細胞の役割をマウスの骨髄移植モデルを用いて検討した.ジフテリアトキシン(DT)の投与により、任意のタイミングでランゲルハンス細胞や樹状細胞を除去可能な遺伝子改変マウス(Langerin-DTRマウス、CD11c-DTRマウス)を用いた。これらのマウスをドナーとし、野生型のマウスをレシピエントとして骨髄移植を行った。ランゲルハンス細胞は放射線照射に耐性であることから、骨髄移植後もドナー由来のランゲルハンス細胞が皮膚に残存する。この特徴を利用し、種々の組み合わせで骨髄移植を行うことで、ランゲルハンス細胞のみを除去可能なマウス、真皮樹状細胞のみを除去可能なマウス、皮膚の樹状細胞全てを除去可能なマウスをそれぞれ作製した。これらのマウスを用いてT細胞の養子移植による接触過敏反応を検討した結果、全ての皮膚樹状細胞が存在しない場合には接触皮膚炎の惹起が著明に抑制され、一方でランゲルハンス細胞のみを除去した場合には皮膚炎が遷延した。これによりランゲルハンス細胞が接触皮膚炎の惹起に対して抑制的に働いている可能性が示唆された。また、皮膚に異種タンパクを発現するマウス(Inv-mOVAマウス)を新たに作成し、これにLangerin-DTRマウスを掛け合わせることでGVHRにおけるランゲルハンス細胞の役割を解析する新たな実験モデルを樹立した。これらの成果により、ランゲルハンス細胞による皮膚免疫制御機構の新たな一面が明らかとなった。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Compensatory role of Langerhans cells and langerin-positive dermal dendritic cells in the sensitization phase of murine contact hypersensitivity2010

    • 著者名/発表者名
      本田哲也、中島沙恵子、江川形平、宮地良樹、椛島健治, ほか
    • 雑誌名

      Journal of Allergy and Clinical Immunology

      巻: 125 ページ: 1154-1156

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Flaky-tail mouse denotes human atopic dermatitis in the steady state and by topical application with Dermatophagoides pteronyssinus extract2010

    • 著者名/発表者名
      Moniaga CS、江川形平、宮地良樹、椛島健治, ほか
    • 雑誌名

      American Journal of Pathology

      巻: 176 ページ: 2385-2393

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Prostaglandin I2-IP signaling promotes Th1 differentiation in a mouse model of contact hypersensitivity2010

    • 著者名/発表者名
      中島沙恵子、本田哲也、江川形平、成宮周、椛島健治, ほか
    • 雑誌名

      Journal of Immunology

      巻: 184 ページ: 5595-5603

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ビジュアルレビュー:皮膚免疫応答の二光子イメージング2010

    • 著者名/発表者名
      江川形平、椛島健治
    • 雑誌名

      感染・炎症・免疫

      巻: 40 ページ: 32-38

  • [雑誌論文] 皮膚における二光子ライブイメージング2010

    • 著者名/発表者名
      江川形平、椛島健治
    • 雑誌名

      医学の歩み

      巻: 232 ページ: 277-279

  • [学会発表] Spatiotemporal T cell motility in the elicitation phase of contact hypersensitivity using two-photon microscopy2010

    • 著者名/発表者名
      江川形平、椛島健治, ほか
    • 学会等名
      日本研究皮膚科学会
    • 発表場所
      和歌山、県民文化センター
    • 年月日
      2010-12-23
  • [学会発表] マウスアトピー性皮膚炎モデルのヒトの病態との関連性2010

    • 著者名/発表者名
      江川形平、椛島健治, ほか
    • 学会等名
      日本アレルギー学会秋季学術大会
    • 発表場所
      東京、品川、グランドプリンスホテル新高輪(招待講演)
    • 年月日
      2010-11-05
  • [学会発表] The spatio-temporal analysis of T cell behavior in contact hypersensitivity response2010

    • 著者名/発表者名
      江川形平、椛島健治, ほか
    • 学会等名
      Annual meeting of Society for Investigative dermatology
    • 発表場所
      アメリカ、アトランタ
    • 年月日
      2010-05-05
  • [図書] ファーストステップ皮膚免疫学2010

    • 著者名/発表者名
      江川形平、椛島健治, ほか
    • 総ページ数
      189
    • 出版者
      中外医学社

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公開日: 2013-06-26  

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