研究課題
近年になり、311nmがピーク波長であるnarrow-band UVB (NB-UVB)療法がその簡便性もしくは有用性のために乾癬、アトピー性皮膚炎、尋常性白斑などの炎症性皮膚疾患治療に頻用されている。しかしNB-UVB療法の詳細な作用機序は明らかとなっておらず、その奏功機序の検討をするためにマウスにおける接触過敏反応(CHS)に対するNB-UVB照射による抑制効果について検討した。まずC57BL/6マウスにおいてNB-UVB照射により容量、時間依存性にDNFBによるCHS反応を抑制することを確認した。次にNB-UVB照射により表皮ランゲルハンス細胞が表皮内から容量、時間依存性に減少することを確認した。さらにNB-UVB照射後にマウス所属リンパ節で表皮ランゲルハンス細胞を含むランゲリン陽性皮膚樹状細胞が有意に増加したことを確認した。表皮ランゲルハンス細胞は皮膚の重要な抗原提示細胞として知られていたが、最近になり免疫を抑制・制御する細胞として注目されており、表皮ランゲルハンス細胞を一時的に欠損させることができるLangerin-DTRマウスを用いてNB-UVB照射によるCHS抑制が生じるかを検討した。Langerin-DTRマウスでジフテリア毒素を投与して表皮ランゲルハンス細胞が欠損した状態ではNB-UVB照射によるCHSの抑制効果は消去された。以上の結果より表皮ランゲルハンス細胞がNB-UVB照射後に所属リンパ節へと遊走することが免疫制御に関わっている可能性が高く、表皮ランゲルハンス細胞が免疫抑制・制御を介して各種炎症性皮膚疾患にNB-UVB療法が有効である可能性が示唆された。
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