1)Th2サイトカインがカリクレイン7を誘導する機構の解析 培養正常表皮角化細胞をIL-4とIL-13で刺激した後、カリクレイン7の誘導のパターンを経時的に(0、0.5、1、3、6、12、24、48、72、96時間後にサンプルを回収)リアルタイムPCRとELISAを用いて解析した。リアルタイムPCRによるmRNAレベルの解析では48時間後に最も強い発現誘導がみられた。ELISAによるタンパクレベルの解析では時間依存性に培養上清中のカリクレイン7の発現量が増加していた。 2)特異的基質を用いたプロテアーゼアッセイ 正常表皮角化細胞をIL-4とIL-13で刺激した後、培養上清を回収。Th2サイトカインによるカリクレイン7の発現の増加に一致してキモトリプシン様セリンプロテアーゼ活性の増加がみられるかを特異的基質(Suc-Ala-Ala-Phe-AMC、Bachem社)を用いたプロテアーゼアッセイ(EnzChek Protease Assay Kits、Molecular Probe社)によって検証した。IL-4またはIL-13で刺激後の培養上清では有意にキモトリプシン様セリンプロテアーゼ活性が増加していた。この結果はリアルタイムPCRやELISAの結果に一致する所見であり、Th2サイトカインがアトピー性皮膚炎などの病変部でカリクレイン7の誘導を介して表皮のプロテアーゼ活性を変化させている可能性を示唆する。
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