本研究では、アンドロゲンレセプターの感受性や発現量の調節機構の差異が、男性型脱毛症(androgenetic alopecia:以下AGA)の発症や性差、さらには発症後の進行速度の重大な決定要素ではないかと考え、女性のAGA患者の病態を解明することを目的とする。まず、女性のAGA患者と健常女性の毛包において、アンドロゲンをエストロゲンに変換する酵素の存在に差があるか検討し、並行して女性のAGA患者と健常者より採取した毛乳頭細胞を角化細胞と共培養して、毛乳頭依存的な角化細胞の増殖に対するアンドロゲンの作用を細胞増殖実験にて検討する。そこで20~70歳の頭部皮膚腫瘍切除術を受ける患者に同意を得た上で、切除組織内の正常皮膚組織片を収集中である。得た組織は新鮮凍結切片作成と初代培養を施行し、アロマターゼの量的比較を免疫染色にて検討し、継代4~6の培養細胞にて細胞増殖実験およびアンドロゲンレセプターの細胞内イメージング解析を並行して施行している。しかし、女性のAGAのサンプルの収集が進んでおらず、今後も引き続き、サンプルの収集につとめる予定である。
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