研究課題
毛包の再生には、少なくとも2種の細胞(上皮系細胞・間葉系細胞)が必須であり、これらのin vitro培養系の確立はいまだ達成されていない。そこで、本研究では、それらの細胞の培養方法を確立し、in vitro発毛システムに適用することで、試験管内における毛包の再生を検討した。平成22年度、毛包上皮幹細胞(hair follicle epithelial stem cells;EpSCs)の単離および培養に成功し、それらのキャラクタリゼーションを行った。今年度(平成23年度)は、毛包再生に必要な、もう一つの細胞種である毛乳頭細胞(dermal papilla cells;DPCs)に注目し、in vitro培養系の確立を行った。DPCsの培養維持には、bFGFを加えた培養系の報告があるが、今年度は、私が注目してきたWntシグナルのWnt-10bのDPCsに対する影響を調べた。DPCsをマウス口髭より単離し、Wnt-10bを加えた場合、増殖能を亢進させ、ヌードマウスを用いた発毛実験において毛包の新生を認めた。このことから、Wnt-10bは、増殖および発毛誘導能の維持に対して効果的であることが示唆された。このようにして得られたEpSCsとDPCsのin vitro共培養を行った結果、毛様構造が認められた。今後は、この毛様構造物を詳細に解析し、さらに培養条件を検討することで、in vitroでの発毛システムの確立を目指す。更に、Wntシグナルによる毛包構築の変化等を検討することで、Wntシグナルの発毛現象における関わりを解明する。
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巻: (in press)
http://www.nature.com/cddis/index.html
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DOI:10.3727/096368912X636867
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