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2010 年度 実績報告書

血漿交換療法の確立のための奏効機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22791086
研究機関杏林大学

研究代表者

平原 和久  杏林大学, 医学部, 助教 (90360106)

キーワード重症薬疹 / 水疱症 / 血漿交換療法 / サイトカイン
研究概要

本研究は水疱症と重症薬疹の治療として血漿交換を用いた際に免疫反応がどのような影響を受けるかについてサイトカインの反応を解析していくのが目的である。平成23年度の研究実績として、重症薬疹1名と天疱瘡3名の血漿交換前後でサイトカインを経時的に測定した。サイトカインの測定を行うにあたり、採血後の測定時間を一定とするため、水疱症の患者で採血の1時間と2時間後にそれぞれ血漿を分離し、分離操作がサイトカインレベルに与える影響を検討した。その結果、安定して結果が得られる採血後1時間で分離することとした。それぞれの疾患における測定結果は重症薬疹において、血漿交換前でTNF-αとIFN-γ、IL-10が健常人と比較し著明に上昇していた。血漿交換が著効した症例ではTNF-αは著明に低下する一方、IL-10のレベルは高値のまま変化しなかった。また、水疱症では血漿交換前のサイトカインと健常人を比較し、著明に上昇するサイトカインは無かった。血漿交換前後の比較では3例中2例でIL-10の上昇が見られ、その2例は症状が軽快している。それに対し、IL-10の上昇が見られなかった症例では血漿交換による軽快は得られなかった。しかし、2回目の血漿交換を行うことでIL-10が上昇し、症状の軽快が得られている。炎症性疾患である重症薬疹では血漿交換により炎症性サイトカインが除去されることにIL-10の持続高値が得られることが皮疹の軽快をもたらすものと考えられた。このように血漿交換後のIL-10のレベルが血漿交換で著効するか否かを決定している重要な要素と考えられた。今後はIL-10産生に至る細胞間相互作用を明らかにしていく予定である。一方、水疱症ではIL-10のみが上昇した。これは血漿交換がサイトカインの除去のみでなく、IL-10の上昇に影響し、病勢の改善につながっていると考えられる。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (7件) 学会発表 (5件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 免疫再構築症候群2010

    • 著者名/発表者名
      平原和久、塩原哲夫
    • 雑誌名

      臨床皮膚科

      巻: 64 ページ: 14-17

  • [雑誌論文] 重症薬疹のステロイ2010

    • 著者名/発表者名
      平原和久
    • 雑誌名

      日本皮膚科学会雑誌

      巻: 120 ページ: 2578-2581

  • [雑誌論文] 重症薬疹診断ガイドライン2010

    • 著者名/発表者名
      平原和久
    • 雑誌名

      マルホ皮膚科セミナー

      巻: 206 ページ: 17-20

  • [雑誌論文] DIHS-見逃しやすい重症薬疹-2010

    • 著者名/発表者名
      平原和久
    • 雑誌名

      ひーふーみー

      巻: 10 ページ: 1-3

  • [雑誌論文] 顔面の毛細血管拡張を伴う紅斑2010

    • 著者名/発表者名
      平原和久
    • 雑誌名

      Visual Dermatology

      巻: 9 ページ: 563-564

  • [雑誌論文] 四肢からみつかる感染症 ヘルペス性ひょう疽2010

    • 著者名/発表者名
      平原和久
    • 雑誌名

      Visual Dermatology

      巻: 9 ページ: 1158-1159

  • [雑誌論文] 躯幹からみつかる感染症 伝染性軟属腫2010

    • 著者名/発表者名
      平原和久
    • 雑誌名

      Visual Dermatology

      巻: 9 ページ: 1180-1181

  • [学会発表] 重症薬疹におけるステロイド治療と大腿骨頭壊死2010

    • 著者名/発表者名
      平原和久
    • 学会等名
      第40回日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会総会学術大会
    • 発表場所
      広島
    • 年月日
      2010-12-10
  • [学会発表] Cytomegalovirus reactivation in severe drug eruptions.2010

    • 著者名/発表者名
      Kazuhisa Hirahara, Yoko Kano, Tetsuo Shiohara
    • 学会等名
      The First Eastern Asia Dermatology Congress
    • 発表場所
      Fukuoka
    • 年月日
      2010-10-01
  • [学会発表] ハーブ(バジル)含有食品による光線過敏症2010

    • 著者名/発表者名
      平原和久、塩原哲夫
    • 学会等名
      第32回日本光医学・光生物学会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2010-07-31
  • [学会発表] 血漿交換によりステロイドの効果が減弱したtoxic epidemal necrolysisの1例2010

    • 著者名/発表者名
      平原和久、佐藤典子、稲岡峰幸、塩原哲夫
    • 学会等名
      第831回合同臨床地方会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2010-07-10
  • [学会発表] 重症薬疹のステロイドの使い方2010

    • 著者名/発表者名
      平原和久
    • 学会等名
      第109回日本皮膚科学会総会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2010-04-17
  • [図書] 薬疹診療のフロントライン2011

    • 著者名/発表者名
      平原和久
    • 総ページ数
      128-131
    • 出版者
      中山書店

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公開日: 2012-07-19  

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