本研究では、デノボメラノーマと母斑関連メラノーマを組織学的、分子生物学的方法を用いて比較することで、デノボメラノーマの組織学的、分子生物学的特徴付けを行うと共に、その発症の分子メカニズムを解析することを目的としている。 1)母斑関連メラノーマモデルマウス、デノボメラノーマモデルマウス由来の腫瘍から抽出したRNAを用いて行ったマイクロアレイの結果から、良性腫瘍と比べて、デノボメラノーマにおいて特異的に発現量が減少あるいは増加する可能性のある遺伝子の選別を行った。これらの遺伝子に関してReal-time PCR法を用いて再現性の確認を行ったところ、個体差が原因と思われるサンプル間でのばらつきが検出されたため、さらにサンプル数を増やし解析を進めた。その結果、デノボメラノーマにおいて発現量が非常に減少するP遺伝子の選別に至った。次に、P遺伝子の発現量をデノボメラボーマ、母斑関連メラノーマと分類されたヒトメラノーマにおいてReal-time PCR法を用いて発現解析を行ったが、デノボメラノーマ特異的に発現量が低下する傾向は見られなかった。原因の1つとして、デノボメラノーマと母斑関連メラノーマを生化学的手法を用いて分類する方法が確立されていないため、病理学的方法からは2種類のメラノーマの混同を避けられないことが挙げられる。そこで、解析方法を変え、デノボメラノーマの発症に関わるE遺伝子との発現量の相関を調べると、非常に強い相関が検出された。このことから、P遺伝子は少なくともE遺伝子と関与することでメラノーマ発症に関わっていることが示唆された。 2)母斑関連メラノーマ、デノボメラノーマの両メラノーマの発症に関わる可能性がある遺伝子としてG遺伝子を選別し、論文として報告した。
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