研究課題
アトピー性皮膚炎(AD)は皮膚疾患のなかで大きな割合をしめる。ADには,外因性と内因性に分けるという考えがある。外因性ADは、皮膚バリアが障害され、アレルゲンが浸透することにより起こり、IgEが高い。一方内因性ADは、抗原特異的IgEは関与せず、IgEは正常である。内因性ADはAD患者全体の20%程度を占め、女性に多く、他のアレルギー性鼻炎やアレルギー性喘息を合併せず、遅発性で、中等度の病勢となるものが多いとされている。一方外因性ADは、近年フィラグリン遺伝子変異が高率に存在することが明らかになってきた。また神経知覚閾値を調べると、外因性AD患者は皮膚バリア能が低く、痒みが強いとむしろ外的刺激への感受性が減り、反対に内因性は皮膚バリアと痒み刺激に対する神経反応は保たれていることがわかった。しかし内因性ADの原因、機序はではない。我々は内因性AD患者では外因性AD患者に比べて有意に金属アレルギーが多く存在し、内因性AD患者の汗に金属成分が多く含まれることを見出した。また、内因性AD患者では、IgE高値の外因性AD患者と比べ、金属パッチテストの陽性率が有意に高いこと、とくにコバルトの陽性率がたかいことを。また内因性AD患者の末梢血中リンパ球フローサイトメトリー解析では、IFN-γ産生細胞が、外因性のものより優位に上昇していることがわかった(論文投稿中)。そこで、金属アレルギーを発症するマウスモデルの作成を行う計画をたて、コバルト、ニッケル、クロムを反復投与を行ってみたが、感作そのものが成立しないことが多々あり、実験系の確立を検討しているところである。感作方法や惹起方法についての検討をしている。
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