研究課題
若手研究(B)
悪性黒色腫はさまざまな臓器に転移し、化学療法も効き難いため予後が極めて悪い腫瘍であり、新規治療法の開発が必要とされている。これまでに申請者は定量的プロテオミクス解析によりPeriostinという細胞外マトリックスタンパク質が正常皮膚と比較して悪性黒色腫にて高発現することを明らかにしている。本研究ではPeriostinと悪性黒色腫の増殖との関係を明らかにし、悪性黒色腫の新規治療法の開発に結びっけることを目的とした。精製ヒトPeriostinタンパク質を悪性黒色腫細胞株(Mewo, G361, G361, VMRC-MELG)に処理すると、Periostinは投与量に依存して細胞の増殖促進作用を示した。 Periostinによるこれらの細胞株の増殖促進にはntegrin/p44/42 MAPK経路が重要な役割を果たしていることが示された。悪性黒色腫の増殖におけるperiostinのin vi Voでの機能を明らかにするため、 Periostin欠損マウスとRAG2欠損マウスを掛け合わせることで、 Periostin・RAG2 dK0マウスを作出した。Periostin・RAG2 dK0マウスとRAG2 K0マウスの皮下にMewo細胞株を移植し、腫瘍の増殖速度を調べた結果、RAG2 K0マウスと比較してPeriostin・RAG2 dK0マウスでは腫瘍の増殖速度が低下していたことから、Periostinはin vivoでも腫瘍の増殖促進作用を示すことが明らかになった(論文投稿中)。以上の結果、in vitro及びin vivoの解析によりPeriostinが悪性黒色腫において、細胞増殖促進作用を有することと悪性黒色腫の創薬標的となり得る事が明らかになった。
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