研究課題
平成24年度は平成23年度にひきつづき40枚の顔写真刺激を用いた幻視誘発課題の有用性について検討した.この課題はノイズの中に顔を埋め込んだ画像が8枚,顔を含まないノイズ画像を32枚被検者に提示し,ノイズのなかに顔を誤って認める誤反応(幻視反応)がどのぐらい生じるかを検討する課題である.レビー小体型認知症(DLB)患者42名,同等の認知障害を有するアルツハイマー病(AD)患者37名に対して検査を施行した.DLB患者のうち15名については、ドネペジル(抗コリンエステラーゼ薬)の治療前後の2回評価を行った。DLBは高頻度に幻視を認める疾患である一方,ADで幻視をきたすことは極めてまれである.DLBでは,平均9.5枚の刺激に対して幻視反応が認められたのに対して,ADでは平均0.2枚に幻視反応を認めるのみであった.介護者からのインタビューによる幻視の重症度と,本課題における幻視反応数は高い相関を示していた(rs = 0.629, p = 0.016).以上の結果から本課題は,幻視の代用尺度として有用であることが示唆された.またドネペジルの投与前(n=15)に平均15.2枚認められていたパレイドリアが、投与後に5.6枚(p<0.001)と顕著に減少した。平成24年度は,視線追跡装置を用いた幻視患者の視覚性注意ついての研究のデータの取得を開始した。現在3名のDLB患者からデータを取得済みである。今後被検者数を増やして検討を続けていく。現在パレイドリアを検出するテストが広く臨床現場で用いられることを目指して、多施設と共同で標準化の研究を介したところである。パレイドリアテスト標準版は、10~30分で施行が可能であり、また採点方法の簡便化について配慮を行った。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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