日本人統合失調症患者において新規抗精神病薬が惹起するメタボリックシンドローム(Mets)の実態を把握するため、その発症に関わるとされる各種アディポカインの動態を薬剤の種類、用量や性差ごとの視点から究明した。また、75g糖負荷試験を実施し、Metsを構成する糖・脂質代謝異常、肥満などに与える影響について検討した。(研究結果(1))正常空腹時血糖値を示していても、新規抗精神病薬内服群では健常者と比べアディポカインであるレプチンが増加し、同じくアディポネクチンは低下しており、糖尿病へと移行する前段階である耐糖能異常が生じる以前でアディポカインの動態が変化している可能性が示唆された。(研究結果(2))新規抗精神病薬内服群では健常者と比べ、糖負荷後においてより過剰なインスリンが分泌されていた。対象を空腹時血糖値が正常なものに限定した場合においても同様の結果が保たれた。
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