精神疾患発症を説明する仮説の一つとして神経発達障害仮説が提唱されている。これは胎児期の脳発達異常が思春期・成人期の発症リスクを高めるという説である。本研究ではストレスホルモンであるグルココルチコイドを齧歯類胎生期に投与し、大脳皮質形成および神経ネットワーク形成へ与える影響を検討した。本研究では胎生期におけるグルココルチコイド曝露が将来抑制性ニューロンとなる介在ニューロンの移動障害を起こし、胎生期の皮質内不均一分布を起こすことを確認している。また胎生期グルココルチコイド曝露後、思春期前後においても前頭前野の体積減少が起きていること、加えて白質での神経線維走行異常といったネットワーク形成障害を起こすことを明らかにした。
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