まず、PCM1、BBS4蛋白の神経発達における発現の変化をみた。ラットの大脳皮質において、PCM1は胎生期17日に多く発現し、成体においては発現量が減少するのに対し、BBS4は胎生期17日、成体において発現量は変化が見られなかった。次にラット大脳皮質プライマリーカルチャーニューロンをDIV O、3、5、7、14、28日と経時的に固定し、神経の発達の段階に分け、細胞蛍光抗体染色法にて分布の変化をみた。r-tubulin、PCM1は、発達の後期まで中心体にとどまるのに対し、ダイナクチン、ダイニン、BBS4は中心体から発達の早期において消失した。DIV 28日では、r-tubulin、PCM1は、スパインに分布せず、軸索に留まるのに対し、ダイナクチン、ダイニン、BBS4はスパインまで分布していた。またPCM1、BBS4遺伝子を各RNAiで発現抑制すると、DIV 3において、ダイナクチン、ダイニン、PCM1、BBS4は中心体に分布しなくなり、r-tubulinには影響がなかった。NMDA受容体と唯一関係があるとされる抗精神病薬クロザピンによる刺激が、PCM1を通じてスパインの形態変化に与える影響も検討するために、DIV 28日においてクロザピンを投与すると、スパインのマーカーであるPSD95の発現量は増加したが、PCM1の発現量には変化が見られなかった。あわせて次年度に向けて、統合失調症患者の血液サンプルの収集と、in vivo実験としてエレクトロポレーション法の立ち上げを行った。
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