これまでに得られた正常対照群のCPTの結果と成人注意欠如・多動性障害(ADHD)患者群から得られたCPT の結果とConners' Adult ADHD Rating Scales(CAARS)の結果、及びSingle photon emission computed tomography(SPECT)で得られた結果をStatistical Parametric Mapping 2(SPM2)、easy Zscore Imaging System(eZIS)を用いて解析した脳血流データを比較検討した。 従来型のCPT検査について、成人ADHD群において治療前のCPT平均反応速度とCAARS不注意項目とADHDindex項目の正の相関が認められた(反応が遅いほど症状の数値が大きくなる)。またSPECTで成人ADHD群は対照群に比べて両側下前頭回と右側小脳に血流低下部位を認め、両側帯状回・両側頭頂葉内側面・右側下頭頂小葉に血流上昇部位を認めているが、そのうち左下前頭回の血流とCPT変動係数に負の相関(血流が低いほど反応のばらつきが大きくなる)、右側小脳の血流とCPT平均反応速度に負の相関(血流が低いほど反応が遅くなる)を、右下頭頂小葉とCPT変動係数に正の相関(血流が上がっているほど反応のばらつきが大きい)を認めた。 徐放性Methylphenidate(MPH)による治療後においてはCPT平均反応速度及び変動率の低下、CAARS各項目の改善、脳血流の是正(低下部位及び上昇部位の正常対照群との有意差消失)が認められている。 新規型CPTでは治療により平均反応速度、変動係数に加えて反応エラー率の改善が認められているが、正常対照群との比較ではエラー率は差が見られず、小児を対象とした先行研究の結果とは異なる結果が得られた。新規型CPTには従来型CPTを超える有用性はみられなかった。
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