研究課題
本研究の目的は、双極性障害の神経認知機能障害と、拡散テンソル画像で測定される異方性の低下との相関を調べ、神経認知機能障害の神経基盤およびその危険因子の解明、臨床的にその進行を回避する戦略を開発することである。3年間の計画で行う本研究の1年目である平成22年度は、健常成人および対象患者を計画通りエントリーした。研究への参加者には、神経認知機能検査(統合失調症認知機能簡易評価尺度日本語版)および拡散テンソル画像検査(3T MRI)の測定を行った。また、臨床的パラメータ(初発年齢、入院回数、躁病エピソード数、精神病症状の有無、罹病期間、測定時の臨床症状など)の収集を行った。これらは現在も進行中である。疾患特異的な神経認知機能障害の評価方法の開発を目的に、言語性記憶検査の繰り返し試行における双極性障害19名および大うつ病6名における差異を検討した。この方法では、15単語の言語性記憶を5回繰り返して試行し、エンドポイントに至るまでの回数をlog-rank testにて検定し、双極性障害と大うつ病の間で有意な差を示した(Chi square=7.1,df=2,P value=0.008)。現在も引き続き、参加者のエントリー及び評価方法の検討を行っている。拡散テンソル画像は当初予定していた1.5Tesla MRIから3Tesla MRIに切り替えて撮像を行った。前頭前野(眼窩、内側、背外側)および前部帯状回からの線維連絡を標的として解析を行っている。
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老年精神医学雑誌
巻: 21 ページ: 206
臨床神経生理学会
巻: 38 ページ: 344