研究課題
線維筋痛症は全身の疼痛を主症状として不眠、全身の疲労感や種々の精神神経症状を伴う原因不明の疾患である。しかし、一般的に用いられている米国リウマチ学会(ACR)の線維筋痛症の診断基準のみでは診断が困難であるためと考えられる。そこで補助診断として客観的データである画像診断を用いることが可能となれば臨床現場での混乱を防ぎ、効率的な診断システムが構築出来、病態解明につながると考えられたため、本研究を施行した。ACRの1990年の診断基準を満たした線維筋痛症患者群と正常コントロール群に対して^<99m>Tc-ECDを用いたPatlakプロット法に基づいた測定法にて脳血流シンチグラプィー(SPECT)を施行し、SPM解析を加え検討を行った。これまで線維筋痛症のSPECT研究の報告はわずかであり、一貫した結果は得られていない。今回、SPECT結果と薬物治療効果を含めた臨床症状との相関解析を行い、今まで注目されていなかった脳内のdefault mode network領域の関与を示唆する結果を得ており、Arthritis Research&therapyに論文発表を行った。これは、これまでの慢性疼痛(線維筋痛症)に対する考え方を一新するものであり、大変重要かつ有意義であった。また、ACRの1990年の診断基準を満たした線維筋痛症患者群と正常コントロール群に対して、PET(positron emission tomography)を施行し、^<18>F-FDGを用いて糖代謝を測定したデータにSPM解析を加え検討を行った。これまで線維筋痛症のPET研究の報告はわずかであり、一貫した結果は得られていない。本研究では今まで注目されていなかった新たな領域である、中側頭回の関与を示唆する結果を得ており、これをまとめた論文は現在投稿中である。さらに、アメリカリウマチ学会で2010年に出された予備診断基準の本邦での検証を行い、その、有用性を確認し、modern rheumatologyに論文発表し、第3回線維筋痛症学会で発表した。
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