本研究は、うつ病患者に対する運動療法の効果メカニズムを画像および精神薬理学的な観点から検討するものである。具体的には、以下について明らかにする。(1)運動療法により、抑うつ状態が改善し、脳由来神経栄養因子(BDNF)が増加するのか?(2)運動療法により、血中一酸化窒素代謝産物(NOx)が増加し、血管内皮機能が改善し、脳血流は改善するのか?(3)運動療法により、血中カテコラミン代謝産物は変化するのか?(4)運動療法による血液生化学的データ(中性脂肪、総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、血糖値、HbA1c)や血圧の改善、BMI、腹囲の減少は抑うつ状態の改善と関連するのか?(5)運動療法が効果的な人を生物学的マーカーにより予測できるか? 本研究にあたり、当大学の倫理委員会にて、「うつ病に対する運動療法の効果メカニズムに関する精神薬理学的検討」として承認を得ており、産業医科大学神経・精神科およびメンタルヘルス外来を受診したDSM-IVの大うつ病性障害軽度~中等度の診断基準を満たす患者のうち、研究に関して書面で同意を得られた者を対象に運動療法として、ウォーキングプログラムを実施し、HAM-Dによる精神症状の評価、血圧、BMI・腹囲測定、採血および画像検査(MRI、SPECT)を行った。さらに、コントロールとして健常人に対しても同様の評価を行った。
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