研究概要 |
動物実験により攻撃性と関連していると考えられている脳内aromataseをヒト生体内で測定するために、aromatase特異的PETプローブを開発しヒトへの応用を目指している。 リード化合物として開発された[^<11>C]cetrozoleは、従来のaromatase特異的PETプローブより脳内aromataseに対する定量性にすぐれていることがわかった。その結果を受けて2011年3月よりヒト臨床研究を行うことが決定した。それと並行して、cetrozoleの類縁体3種類(TMD-288,292,322)を、PETプローブとして用いるために^<11>Cで標識することに成功し、ラットとアカゲザルを用いてその特性をin vitro/ex vivo autoradiographyおよびPET実験などで検証した。その結果、aromataseに対する結合能がcetrozoleに比して、TMD-288が2倍低く、TMD-292が2倍高く、TMD-322が3倍高かった。そのためTMD-322を次のヒト臨床試験を行うための候補プローブとし、代謝物解析実験を行ったところ、血中に^<11>Cで標識されている代謝物は存在するが、それらは脳内には移行しないことがわかった。つまり、TMD-322もcetrozoleと同じく脳内アロマテースを定量的に測定できると考えられる。この結果をもって、現在安全性試験を計画しており、来年度初期に実行し、その後健常人でPET研究を行う。CetrozoleとTMD-322の健常人での結果を比べて、より良いプローブを使って攻撃性を伴う摂食障害患者でPET臨床研究を行う。
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