研究課題
動体追跡放射線治療では、腫瘍位置の指標となる体内マーカー位置をX線透視によるモニタすることにより、呼吸性移動を伴う腫瘍に対して呼吸同期照射をおこない、正常組織への余計な放射線照射を抑制することが可能である。X線透視による体内マーカー位置の測定は被曝をともなうため、低線量でのX線透視が望まれるが、コントラストの低下によりマーカーの認識が困難となる場合がある。本研究では、X線透祖画像に対して画像処理を施すことにより、低線量透視画像におけるマーカーの認識精度を向上させ、X線透視による被曝を低減することを目的としている。平成23年度の研究実施計画と得られた成果を以下に示す。1.画像演算機能、追跡機能の動体追跡ソフトウェアへの組み込み3CCDカメラをX線カラーI.I.に取り付け、二方向X線透視画像取得システムを構築し、制御ソフトウェアに画像処理機能およびマーカー追跡機能を実装した。認識度向上を目的とした画像処理方法のひとつとして、体内マーカの位置に応じて画像積算エリアを更新する方法を検討した。本手法では、X線画像内の統計ノイズを抑え、かつ画像積算時のマーカーの動きによるアーチファクトを抑えることが可能である。2.実際の治療時の金マーカーの動きと透視状態を再現した動的な検証体内での呼吸運動を再現させたマーカーの透視画像を取得し、上記の画像処理の有効性の評価をおこなった。比較の結果、画像処理によりマーカー認識度および位置測定精度が向上し、被曝量が約2倍となるX線透視時と比較して、同等の追跡精度が得られることがわかった。カラーX線画像のエッジ強調処理を組み合わせることにより、マーカーの誤認識を抑え、透視による被曝のさらなる低減を期待できる。
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Proceedings of SPIE
巻: Vol.8316
DOI:10.1117/12.912734