本研究はAlzheimer病に関する大規模な縦断的研究データベースを用い、FDG PET画像に様々な画像処理・解析を試みることで、治療効果や経時変化を見出す検出力を最大化しうる条件を探求するものである。画像データは全米の多施設共同研究であるAlzheimer's Disease Neuroimaging Initiative(ADNI)から使用の許可を得ており、また画像処理・解析には米国ワシントン大学で開発されたNeurostatプログラムを使用する。本プログラムは多くのオプションを備えている上、コマンドラインを用いてバッチ処理実行プログラムを作成することで、大量の画像処理を自動的に行うことができる。 本年度はまず、ADNIデータベースから最新のFDG PET画像データを取得した。Alzheimer病症例を中心に、mild cognitive impairment(MCI)症例および正常例のうちベースライン、6ヶ月後、1年後にフォローアップの画像を有するケースから成るトータル約300ケース強、1000スキャンほどである。ADNIからはDICOMなどいくつかのデータフォーマットが用意されているが、これをNeurostatに適したフォーマットに変換する必要があった。変換後は、統計解析をする前に解剖学的標準化を施行するわけであるが、単純に個々の画像を標準化するだけでなく、細かな工夫を取り入れた方法も試みた。次年度、データを解析し最適な縦断的評価法を模索する中で、これらの工夫がどの程度有効であったか検討してゆく。
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