研究課題/領域番号 |
22791173
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
風間 俊基 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教 (70375781)
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キーワード | 乳がん / 診断 / MRI / CT / 手術 |
研究概要 |
乳癌温存療法の中核をなす温存手術は、残存のない腫瘍切除が必須であるが、他方、QOLの点からは最大限の乳腺組織を残すことが求められる。これら相反する要求を満たすため、腫瘍の進展範囲の正確な診断と手術範囲決定ナビゲーションへの応用が最重要の課題である。造影MRIにより正確な病変進展範囲の評価が可能となってきたが、手術時と検査時の病変の移動・変形などのため、手術範囲決定ナビゲーションへの応用は進んでいない。 背臥位と腹臥位とでは腫瘍の位置がずれることはよく知られているが、熟練した人間の目ではその位置ずれを認識できる。コンピューターでもそのずれを認識することではないかと思い研究を開始したが、うまくいかず暗礁に乗り上がってしまった。そこでコンピューターでの自動化をあきらめ、人間の認識能力を生かして手術範囲を決定するようにした。具体的には、造影CTの解釈時に造影MRIの所見を考慮して腫瘍の進展範囲を決定した。そして今年度は30例に術前ナビゲーションを行った。病変の近くにマーカーを置いてそこを中心に位置決めをするとずれが少なくなることがわかった。 乳がんのMRI、および派生的に行っている食道がんのMRIの研究では下記のとおり2個の査読ある英字紙にて学術論文発表と2個の学会発表を行うことができた。それらでは、「MRI拡散強調画像で癌化学療法の効果を予測できること」、「造影MRIによる乳がん化学療法の効果予測ができること」、「3TのMRIでは従来と異なる脂肪抑制方法が有用であること」、「MRI拡散強調画像では部分容積効果が無視できないこと」が示され、臨床的に有用であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コンピューターによるゆがみ補正でMRIとCT画像の融合がうまくいっていないため。そのため造影MRIの所見を人間の目で判断して造影CTで癌術前広がり診断・術前シミュレーションを行っている。コンピューターでの自動化は失敗したため作業に手間がかかっているが、今年度は約30症例でシミュレーションを行った。
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今後の研究の推進方策 |
造影MRI所見を利用した造影CTによる癌術前広がり診断・術前シミュレーションを継続すること。また、前立腺などで実用化されている超音波とCT画像融合を取り入れ、当院にあるSPECT-CT所見を応用して超音波によるセンチネルリンパ節同定を計画している。
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