研究概要 |
回転型強度変調放射線治療(volumetric modulated arc therapy:VMAT)は,治療中の診断用kvX線および治療用MV-X線の投影画像からコーンビームCT(cone beam CT:CBCT)画像を再構成することが可能であり,治療中の臓器の位置を同定することが期待されている.これまで我々はVMATを肺定位放射線治療(stereotactic body radiotherapy:SBRT)に適用し,診断用kV-X線を用いて標的の位置検出と呼吸性移動量の評価を行った.本年度は治療用MV-X線を用いて治療中の標的の位置検出と移動量を評価することを目標とした.動体ファントムおよび臨床例(照射は4日間)を対象として,計画用CTの撮影とVMATによる治療計画および放射線量と線量分布の検証作業を行った.照射中に診断用kvX線および治療用MV-X線による投影画像を収集し,kV-CBCT画像およびMV-CBCT画像の再構成を行った.再構成画像から動体ファントムと臨床例の標的の位置検出および移動量を評価した.標的の位置検出ではkV-CBCTとMV-CBCT画像内の標的の位置の差は動体ファントムでは2mm以下,臨床例では3mm以下だった.これは螂CBCT画像の画質が低く,MV-CBCTの再構成画像内の標的の形状がやや変形していたためと考えられた.また,臨床例では治療中のkV-CBCTおよびMV-CBCT画像を用いることによって,同一患者でも標的の移動量の日々の変化があることが確認できた.MV-CBCT画像は治療用MV-X線のみで画像が再構成されるため,MV-CBCT画像のみで標的位置の検出が可能となれば,治療中の画像収集には過分な被曝を避けることできる.本研究の方法を用いて治療中の標的や臓器の位置を把握可能となれば,SBRTにおいて治療中の投与線量や分布を再評価することが可能となる.
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