ポルフィリンは腫瘍集積性有するが、通常のポルフィリンは金属との結合が遅く、半減期の制限のある放射性医薬品への応用は困難とされてきた。そこで本研究は、金属との結合が非常に速い八臭素化ポルフィリン誘導体に着目し、新規「放射性金属-八臭素化ポルフィリン錯体」を開発し、腫瘍の新規核医学診断・治療薬剤への応用の可能性を明らかにすることを目的として検討を行った。本年度は昨年度の知見に基づき、八臭素化ポルフィリン誘導体として、Octabromotetrakis (4-carboxyphenyl) porphine (OBTCPP)を選択し、放射性金属である^<111>Inで標識した^<111>In-OBTCPPの担癌マウスにおける腫瘍集積性と、体内分布に関する検討を行った。担癌マウスとして、colon26細胞、および、Bl6/BL6細胞を移植したBALB/cマウスを用い、^<111>In-OBTCPPを尾静脈から投与した後の体内分布を検討した。その結果、^<111>In-OBTCPPの血液クリアランスは比較的遅かったが、投与24時間後では0.5% dose/gにまで低下した。また、^<111>In-OBTCPPは肝臓、腎臓に高い集積を示したが、腫瘍へも集積し、投与24時間後で、いずれの腫瘍へも約7% dose/gの集積を示し、腫瘍/筋肉比は、9以上であった。以上の結果は、^<111>In-OBTCPPが腫瘍の種類によらずに集積する可能性を示しており、腫瘍の検診のための診断薬となり得る可能性を有していることを示唆している。
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