研究概要 |
フッ素-18標識フルオロジヒドロテストステロン(16β-[^<18>F]fluoro-5α-dihydrotestosterone、FDHT)は、PET用アンドロゲン受容体イメージング薬剤として前立腺ガン等の診断に有用性が期待されている。しかし、既報の合成法では難易度が高いため、海外においても高度な専門技能を有する施設でしか利用することができない。本研究では、臨床使用されている市販カセット型PET薬剤自動合成装置を用いて、この装置に適用可能な温和な条件下でのFDHT合成法の最適化を行なった。合成は、院内サイクロトロンで製造したフッ素18を用い、標識、還元、加水分解反応の順に実施した。標識前駆体の16α-[[(Trifluoromethyl)sulfonyl]oxy]-3,3-(ethylenedioxy)anhydrostan-17-oneを4mg、2mg、1mgと変動させ、それぞれ無水アセトニトリル2mLに溶解後、相関移動触媒下でフッ素18と125℃10分間標識反応を行った。次いで、水素化ホウ素ナトリウム1.5mg/エタノール溶液を加え室温で5分間17位のケトン基を特異的に還元させた。加水分解反応では、0.1mol/ml溶液で85℃15分間反応させて目的物を得た。次いで、HPLCによる分離精製を行い、生理食塩水に溶媒置換後0.22μmメンブランフィルターで滅菌ろ過し注射製剤として製することに成功した。標識前駆体量を変動させた検討では、4mgで最も安定した収率が得られた。得られた製剤について、マウスによる急性毒性試験を行ない異常は認められなかった。
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