新規ナノキャリアシステムであるラクトソームの放射性フッ素(^<18>F)やヨウ素(^<131>I/^<123>I/^<125>I)標識についてはSFB/SIBを用いる方法で、一定の収率を期待できる合成技術を確立した。 また、動物モデルとしてテレピン油を用いた急性炎症モデルを作成するとともに、マウス癌細胞株と免疫不全マウスを用いて肺癌や乳癌の多発肺転移、リンパ節転移、骨転移、肝転移といった各腫瘍モデルの作成にも成功した。 さらに^<131>I標識ラクトソームを用いて1時間~96時間のタイムポイントによるbiodistributionを行い、各臓器の薬剤分布を調べた。これにより腫瘍へのラクトソーム集積は24時間から48時間にかけて正常組織に比して良好なコントラストが得られることが判明した。 それ故に半減期が110分と短い^<18>F標識ラクトソームを用いて小動物PETイメージングを試みたが、良好な腫瘍イメージングには至らず、半減期が13.3時間と長い^<123>I標識ラクトソームを用いて小動物SPECTイメージングを試みたところ、良好な腫瘍イメージングを得られた。 また、マウスに対して近赤外蛍光剤であるICG標識ラクトソームと^<131>I標識ラクトソームの同時投与を行うことにより、両物質の体内動態がほぼ同様であることが判明した。 以上の研究成果により、ラクトソームが新たな腫瘍イメージングプローブになりうる可能性が生まれ、今後のRIによる非侵襲的ながん診断法の発展に重要な意義をもつものと考えられた。
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