本研究は、治療法が全く確立されていないスキルス胃がん等の管腔臓器の広範な浸潤性腫瘍に対し、3次元腔内モールド照射という新たな小線源治療の概念を提案し、治療法が確立されていない難治性腫瘍に対し、放射線を用いた新たな治療法の開発の基盤を作ることを目的にしている。本研究で最も重要となるのは、胃壁の形状に沿わせ、かつ、大口径に膨張が可能な、これまでに例のない独自のアプリケータを開発することである。本年度はスキルス胃がんで使用可能なアプリケータの設計と開発を行った。アプリケータの仕様としては、以下の点を仕様とした。 ・バルーンは空気、水のいずれかで膨らむ構造である。 ・バルーン部分は空気又は水を注入した際、楕円形状に膨らむ構造である。 ・バルーン内には中央に1本、膜内側に6本、約60度間隔に線源が通るチューブを設ける。 ・バルーンアプリケーターは、柔軟性があること。 ・バルーンの長さは10~12cm程度、収縮時の直径は、2cm未満、バルーンの膨張時の直径は、10cm程度、全長は、300mm以内であること。 ・バルーンは、水中等での使用にも耐えうる構造である。 また、材質はテフロンとの接合性を強化するために、シリコンを用いた。全て手作業で作成されるために、完成に時間を要したが、これらの仕様を全てみたす実験用アプリケータをタイセイメディカルと共同開発した。今後はこれを用いて線量測定実験、線源モデル、最適な照射法の考案を行う予定である。
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