今年度は、前年度に引き続き、肺気腫領域の機能画像評価として、現在までに取得した画像をもとに、更なる低線量下での機能画像診断を目的とした評価を行った。低線量手法としては、現在低線量CTで主流となりつつある逐次近似法(Iterative Noise Reduction Technique)という技術を用い、更なる低線量化を図った。また、機能画像の手法として、気管支評価に注目し、気管支内腔容積評価と気管支壁肥厚評価という評価法を用いた。これにより呼吸器機能画像評価において、低線量CTで取得した画像の再構成時に逐次近似法を用いた画像評価と用いなかった場合の画像評価を通常線量CTと比較した場合、用いた場合は通常線量における評価とほぼ同等の結果を得ることができた。これにより、通常線量と比較して、約17%に軽減した場合においても機能画像評価は可能であることが示唆された。具体的な結果については以下の通りである。 ① 逐次近似法を用いた画像評価では標準線量で得られた画像評価と強い相関が見られた。 ②気管支内腔容積評価において、逐次近似法を用いた画像評価と標準線量で得られた画像評価のばらつきが軽減するとともに、呼吸機能との有意な相関が見られた。 これらの研究成果を、北米放射線学会,欧州放射線学会にて発表を行い、また国内においても日本医学放射線学会総会にて発表した。 そのほか、上述した研究にて用いた新しい機能画像評価法の一つである気管支内腔容積計測についての研究が学術雑誌に掲載された。
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