研究課題/領域番号 |
22791198
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
宮脇 大輔 神戸大学, 医学部附属病院, 特定助教 (30546502)
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キーワード | Ad-p53 / 放射線治療 / X線 / 粒子線 |
研究概要 |
粒子線治療はその物理学的特性により、X線治療と比較して良好な線量分布を作成することができる。そのため少ない副作用で、通常の放射線治療では不可能ほどの高線量の照射が可能である。遺伝子治療を併用した粒子線治療を行うことで、高い抗腫瘍効果を保ちつつ、局所制御線量の低減が可能となり、正常組織障害を軽減することができると予想される。本研究の目的は、遺伝子治療併用粒子線治療の臨床応用への第一段階として、培養腫瘍細胞に対して、in vitroおよびin vivoでのアデノウイルス・ベクターを用いたp53遺伝子治療における遺伝子導入効率の確認、抗腫瘍効果の確認、粒子線治療との併用効果の確認などの基礎的研究を行うことである。H23年度の研究では過酸化チタンナノ粒子を用いた放射線増感実験を行った。in vitroにおいて、様々なROS反応試薬によるラジカルの同定を行い、OHの可能性が高いことを確かめた。また、in vivoにおいてはヌードマウス大腿部に腫瘍細胞を移植し、ナノ粒子と放射線との併用により高い抗腫瘍効果を示すことを確かめた。ヌードマウスを用いた実験では、腫瘍抑制効果が見られ、摘出した腫瘍には、ナノ粒子の集積が確認された。またマウスの長期生存を確認し、臓器異常の無いことも確認でき、新たな知見と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
粒子線治療施設での遺伝子実験の申請・許可が遅れているため
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今後の研究の推進方策 |
放射線増感作用について、in vitro、in vivoで様々な実験を行い、その機序・効果について確認できた。アデノウイルスベクターを用いたP53遺伝子治療による放射線増感作用について引き続き、研究を遂行していく予定である。
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