有痛性椎体ないし臼蓋骨折に対して、経皮的に骨セメントを注入して治療を行う椎体(骨)形成術は、欧米を中心に広く普及している。本研究は、椎体形成術に関して、①本治療に適した症例を選別する術前診断法(特にMRI所見)の確立、②・続発性骨折に対する予後決定因子の解明を目的とした。 術前に疼痛の評価(visual analogue scaleやRoland-Morris Disability Questionnaire)、骨塩定量、単純写真、CT、MRIなどの画像検査、一般採血検査等行う。特に内服薬(特に鎮痛薬、ステロイド、ホルモン剤、カルシウム剤など)の問診は過去の使用歴まで綿密に行う。理学所見により局所に疼痛が認められる椎体に椎体形成術を行う。特に術前のMRIにて浮腫が存在する急性から亜急性期の骨折を対象としている。慢性期の骨折であっても疼痛が持続する場合は除外としていない。 術直後は痛みの評価とともにCTおよびMRIによるセメントの分布の評価および新たな骨折の出現を評価している。合併症がなければ術翌日よりリハビリを開始し、1週間以内に退院、経過観察としている。 本邦でも本治療法自体は保険収載された。しかし悪性腫瘍に対する骨セメントは保険収載されているものの、骨粗鬆症性圧迫骨折に対しては保険収載されているものが存在しない。また、先進医療としての認可も外れたため、患者集積に苦慮した。そのためそれまでに治療した患者の経過観察を行った。
|