研究課題
本研究の実験として、食道CT用の至適造影剤の作成とブタ食道を用いたCT撮像を行った。造影剤は溶媒と濃度を諸条件にて作成した。しかし、医療用潤滑剤ゼリーを溶媒としたものは撹拌の際にゼリー成分が均等に撹拌されずゲルと液体を混じた内容液となり、CT造影剤としては不適と考えられた。とろみ調整食品を用いた造影剤は、撹拌にて均質な溶液が作成可能であった。次に、これらをブタ食道に投与するため、食道・胃・十二指腸1検体のブタ臓器より食道のみを適当な長さに切離した。食道には疑似腫瘍を作成するために、内視鏡を挿入し、適当な量の生理食塩水を局注針にて注入した。それぞれのブタ食道内にシリンジを用いて各々の造影剤を注入し、CT撮像した。撮像はthinsliceで行い、撮像データは3次元解析のためにmultiplaner reconstruction処理にて冠状断も作成した。各々の検体を軸位断、冠状断にて視覚的に評価した。評価項目は、アーチファクトの有無、食道の伸展度、病変部-正常部のコントラストなどを項目とした。いずれの検体もアーチファクトはほとんど問題とならなかった。伸展度、コントラストについては、おおよその至適濃度は推測されたが、厳密な評価には各々の項目を組み合わせた画像および統計解析までが必要と思われた。本年度の実験およびその結果により、本研究の目的である食道CT用造影剤の開発に有用な結果を得ることができたが、現時点では臨床応用には程遠い。より実用的な結果を得るために、次年度の研究ではさらに細かい濃度設定での画像解析ソフトを用いた解析および統計学的解析が必要である。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
Gastroenterology Research, Practice
巻: 12(Web)