研究課題
FACS VantageのCloneCytオプションを利用することによって、正確な数の細胞を直接multi-wellプレートにソート出来ることが分かった。これに、前年度に確立できた低接着表面加工されたプレートと特殊な無血清培地を粗み合わせることにより、種々の癌幹細胞マーカーに対して、細胞スフィア形成を指標としてスクリーニングできるアッセイ系を確立できた。現在まで固形癌の癌幹細胞マーカーと言われている種々の表面抗原や、Side population法、Aldefluor法により、上記アッセイ系を用いて、癌幹細胞マーカーの検索を行った。現在までのところ、ALDHI活性、さらに2つの表面マーカーの発現がスフィア形成能と高い相関を示すことが分かった。このことより、甲状腺癌の癌幹細胞マーカーの候補を絞り込むことが出来たと考えられる。また、上記の低接着表面加工プレートと無血清培地での培養法は、ある程度癌幹細胞を選択的に増殖させることが出来ることが示唆され、この方法によって培養された細胞、通常の接着培養法、そしてヌードマウスで実際に形成された腫瘍から取り出した細胞を用い、これら細胞の表面抗原等の発現の変化も検討した。スフィア細胞とマウスから取り出した細胞では、通常の接着培養における表面抗原の発現パターンと若干異なったパターンが確認され、スフィア細胞は、より生体内に近い状態を反映している可能性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
癌幹細胞マーカーの絞り込みに時間を要したが、おおむね予定通り進展していると考えられる。
基本的には、当初の予定通り研究を進める方針であるが、甲状腺癌初代培養細胞の数が限られていることより、種々の甲状腺癌細胞株の利用頻度をやや増やしていく予定である。
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