本研究は、陽子線治療への臨床応用を目的として、ポリマーゲルを用いた陽子線線量測定を行うものである。 平成22年度では主に、陽子線照射後のポリマーゲルに対して、線量評価万法であるMRI測定に対する検討を行った。 従来のR2(スピン-スピン緩和速度)による評価については、エコー時間を変化させてできるだけ多くの測定点(測定数)からR2を算出する方法を用いている。この方法は多くの測定点(測定数)を用いることで制度がよい測定値が得られるが、測定時間が長いため非効率的かつ臨床応用には向いていない。本研究では、MRI測定の効率化を目的として以下の検討を行った。まずは最小二乗法を用いたR2自動計算プログラムを開発した。さらにこのプログラムを使用して測定点(測定数)と算出されるR2について差があるかどうかについて検討を行った。結果は、このプログラムを使用することで効率よくR2画像が得られることが明らかとなった。また測定点(測定数)と算出されるR2については、測定点(測定数)2~4の場合でいずれも、測定値の差はそれぞれの算出したR2の標準偏差以内であり差がないことがわかった。このことにより、R2自動計算プログラムを使用した測定点2点でのR2算出を行うことにより効率よいR2算出が可能になることを明らかにした。この成果については平成23年4月での日本放射線技術学会第67回総会学術大会で発表した。 また、それ以外にもR1(スピン-格子緩和速度)におけるポリマーゲル線量評価についても検討を行い、最適な測定条件の検討を行った。
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