研究概要 |
MR Elastography (MRE)は撮像対象の局所的な弾性率の違いを画像化する技術である.MREでは強制加振による振動を撮像対象内に伝播させる事が不可欠であり,その伝播波はMR位相画像によって可視化する.伝播波の波長はMREの画像分解能を決定し,波長の可視化は振幅量が大きくなると容易になる。 一般的に,伝播・波の波長が短くなると(振動周波数が高くなると)振動の透過力が低下する.さらに人体を対象とした場合,皮膚表面から対象臓器へは多層構造であり,この構造が振動強度の減衰要因となる.現状の臨床用振動装置は減衰を考慮して強力大型化に向っており,加えて位相変化量の増幅にMotion Sensitizing Gradient(MSG)を併用している。そこで我々は強力で小型,臨床での更なる利便性を追求した振動装置を開発し(特願2009-256251),MR装置下での制御性を実験的に検討したので報告する.<BR>【方法】本装置は流入する圧縮空気によって,ケーシング内部のリングを摺動するボールの遠心力によって振動を発生させる.MREはTRと振動周波数の同期,加振位相が異なる複数の画像を必要とする.この複数の画像を得るために光ファイバセンサをリング円周上に4箇所設置し,複数の加振位相(0,π/2,π,3π/2)での同期を可能にした.実験は2.0T動物実験装置(BRUKER社)を使用し,振動周波数を160Hzとした.実験対象にはアガロースゲルを使用し,重量濃度を変化させることで局所的に弾性率を変化させた,<BR>【結果】本装置はマグネット内の撮像対象物への直接加振が可能であり,MR画像上にノイズを発生させなかった.4箇所に設置した光ファイバセンサによって複数の加振位相での同期が可能であった。本装置はMRE加振動器として使用可能である.
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