研究概要 |
【背景・目的】MR Elastography(MRE)で利用される加振動装置にvoice coil(=スピーカ)が発生させる音圧を利用したものがある. この方法は加振波の周波数,位相などを容易に制御することが可能であり,構造もシンプルであるため使いやすい. しかし,音圧による加振は周波数が高くなると加振波振幅が小さくなるため,周波数によっては十分な振動エネルギーが取れない場合がある. そこで我々は加振周波数上昇に対する振幅低下のない次世代型MRI対応加振動装置(特願2009-256251)を開発し,装置の特性を評価した 【方法】本装置は内蔵するボールが圧縮空気によって高速回転し,遠心力振動を発生する加振動装置である. MREではTRと加振動装置の同期を計る必要があり,振動周波数のリアルタイム測定が不可欠である. さらに,本装置は強磁場環境下での駆動を想定しているので構成部品は全て非磁性体でなければならない. 周波数を測定するために,強磁場中の動作が可能で,それ自体がノイズ発生源とならない光ファイバセンサを内蔵した. また,装置に内蔵するボールは直径が異なるもの,質量が異なるもの,数種類を用意した. 本装置の性能測定にはレーザー変位計を使用し,圧縮空気流量変化に対しての加振周波数変化と振幅量変化を測定した. 振幅量はレーザー変位計で測定される振動波形のpeak-peakから算出し,周波数は振動波形のFFTから求めた値と光ファイバセンサが測定する値を比較した. 【結果】圧縮空気流量と周波数が比例した. 振幅はボールの直径が同じ場合では質量と共に大きくなり,質量が同じ場合ではボールの回転半径と共に大きくなった. 全てのボールにおいて,周波数が上昇しても振幅量は低下しなかった.アガロースゲルファントムによるMRE実験により,本手法でMREが可能である事を実証した.
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