| 研究概要 |
本研究では,臨床で用いられる直線加速装置の構造を変更することなく,直線加速装置ヘッドに部品を装着するだけで人体軟部組織特に腫瘍を高コントラストに検出可能なポータルイメージ・Mega Vol tage CT撮像を実現する方法を提案した。本手法はターゲットの材質を最適に決定することにより低エネルギー成分を含んだ制動X線の発生確率を大幅に向上させることが重要課題であったため,本年度はターゲットの材質・形状を決定するためにモンテカルロシミュレーションを行い,カーボン・アルミニウムを用いた新しいターゲットの設計を行った。シミュレーションの結果,低エネルギー成分を含むエネルギースペクトルを発生するカーボン・アルミニウム厚を算出された。しかし,電子線モードにおいても加速器のヘッドから発生する制動X線が画質に影響を与えることが確認され,コリメータによる照射野サイズと画質に影響する線量の効率化について考慮が必要であることが新たに分かった。アルミニウムターゲットに関しては実際に画像取得実験を行い,数mmでもEPIDによる画像での物体形状の確認は可能であることが示され,アルミニウム数cm厚程度で空間分解能がX線のものに近づくことが実証された。これらの成果を国内・国際会議において発表を行った。さらに軟物質ファントムによる実験を行うことでX線と比較して密度分解能の向上について確認が可能であると考える。今後,少ないMU値で高画質を得るための照射法の最適化と,散乱線による人体への影響を考慮した装置の設計を行うことが必要である。
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