研究課題/領域番号 |
22791218
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
秋澤 宏行 北海道医療大学, 薬学部, 准教授 (90311795)
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キーワード | がん / アイソトープ内用療法 / 体内動態制御 / 放射性医薬品 / octreotide / 刷子縁膜酵素 / 腎臟 / ペプチド |
研究概要 |
ラジオアイソトープ(RI)標識ペプチドを用いるがんのアイソトープ治療では、腎臓における非特異的な放射能集積のために、治療効果があるにもかかわらず、治療の継続を断念する例が多くみられる。本研究では、この問題を解決するため、新しい酵素感受性標識試薬の開発に取り組む。 以前、申請者らは、「非特異的な腎放射能集積」という同じ問題を有するRI標識抗体フラグメントに対して、尿細管で再吸収される前に腎刷子縁膜酵素の作用で尿排泄性の放射性代謝物を遊離する標識試薬を開発し、適用することで、その腎集積の低減に成功した。本研究では、この成果に基づいて、「以前の検討で用いた抗体フラグメントとは異なり、がん細胞で内在化されて代謝されるペプチドやタンパクを母体とする放射性医薬品にも適用可能な、腎集積を低減する酵素感受性標識試薬」の開発を目的として、発展的な研究を行う。 平成23年度は、標識試薬から遊離させるべき放射性化合物、すなわち、高い尿排泄性と高い細胞内滞留性を具備する放射性化合物を探索することを目的とし、そのような性質を有することが期待される化合物を設計し、その標識前駆体の合成と標識化合物の合成を行った。また、その標識化合物の尿排泄性は従来のものと比べて劣らず、細胞内滞留性は優っている可能性があると考えられたことから、その化合物を遊離する標識試薬を設計、合成を試み、これまでに、その合成法をほぼ確立できた。平成24年度は、その標識試薬の合成を完了させ、その評価のためにin vitro、in vivoの実験を行う
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
目的とする放射性標識前駆体と放射性標識化合物の合成に、当初の予定よりも時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度のため、化合物数を増やすことはせず、これまでに合成した化合物についての評価を行う。場合によっては、評価実験の順番をかえ、設計・合成した標識試薬の評価を急ぐ。
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