研究課題/領域番号 |
22791223
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
森口 央基 東海大学, 医学部, 講師 (70296705)
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キーワード | 放射線医学 / MRI / 画像再構成 |
研究概要 |
本研究ではMRI高速撮像法において、画質の改善やさらなる撮像時間の短縮化を目指すものである。画像を再構成する手段としてFocal Underdetermined System Solver(FOCUSS)というアルゴリズムを用いる。本年度は、Bunched Phase Encoding(BPE)とspiral MRIに関し、新たな技術を開発したので以下に記述する。 BPEはMRIのデータをジグザグの軌道に沿って収集する方法である。この結果データ収集の繰り返しの回数を減らすことができ、撮像時間は短縮される。ただし、BPEでは画像の信号雑音比(SNR)がしばしば低下し、これがBPEの最大の難点であった。本研究では、BPEの画像再構成法にFOCUSSを組み入れることにより、目立ったアーチファクトを出現させることなく、大幅にSNRを改善することができた。具体的には4倍速のBPEを使用した時、FOCUSSを利用して再構成した画像のSNRは、従来の方法にて再構成した画像のそれと比べ実測値にておよそ5倍~15倍であった。 Spiral MRIは現在MRIで最速の撮像法の一つである。ただしこの方法では、磁場強度が不均一な場合、画像上その部分にボケが生ずる。これはoff-resonance効果と言われ、spiral MRIの最大の難点である。現在存在するボケの補正方法は、そのほとんどが周波数のmapを必要としており、このmapを作るには少しパラメータを変えて同じ撮像を2度繰り返さなければならない。つまり撮像時間は2倍となる。本研究ではFOCUSSの基礎となるL1最小化という概念を用い、一度の撮像でmapを作ることに成功した。 上記いずれの研究も現在代表的な高速撮像法の短所を克服したものであり、臨床の現場で大いに役立つものと期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究を通し、MRIの画像のアーチファクトの低減やSNRの改善にFOCUSSが役立つことが当初の予想以上に明らかになってきているため。例えば、上記「研究実績の概要」で記載したspiral MRIのボケの補正法などは、交付申請書の研究計画にはなかった全く新しいFOCUSSの応用法である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は本来、FOCUSSというアルゴリズムのみを取り扱い、それを様々な形でMRIの画像再構成に応用することをよって画質の改善を図ろうとしたものである。ただし、今後の研究ではFOCUSS以外のアルゴリズムにも着目し、これらとFOCUSSを組み合わせることにより、さらなる画質の向上を目指していくこととする。それぞれのアルゴリズムには長所ど短所があるため、互いの短所を補い長所を活かす方法を模索していく。
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