研究課題
放射線透視画像を利用するInterventional radiology(IVR)は低侵襲であることから、頭頚部を含む様々な疾患の治療に広く用いられている。しかしIVRによる被ばく線量は癌の放射線治療に次いで大きく、頭頚部IVR(脳血管内治療)においても急性放射線障害である脱毛の発生が報告され、長期的な人体への影響(晩発性障害)も懸念されている。そこで本研究では以下の3点を主な目的とした。1.実際の脳血管内治療において、多数の放射蛍光ガラス線量計(RPLD)を用いた直接的被ばく線量測定法(Radirec[○!R])を普及するための標準化を行う。2.IVR治療の透視・撮影放射線による患者組織損傷の程度を客観的に評価するため、術前後で患者血漿・尿を採取し、酸化的DNA損傷の指標である8-hydroxydeoxyguanosine(8-OHdG)を定量し、急性/晩発性放射線障害の程度と患者被ばく線量の相関を解析する。3.放射線防護作用を有すると報告されているedaravone(脳保護剤、商品名ラジカット)のIVRに於ける放射線障害予防効果を探るため、当院治療患者を対象とした前向き臨床研究を実施し、その臨床的有用性を明らかにする。当該年度は、放射線防護作用を有すると報告されているedaravone(脳保護剤、商品名ラジカット)のIVRに於ける放射線障害予防効果を探るための当院治療患者を対象とした前向き臨床研究の前段階として、脳血管内治療症例にRadirec[○!R]を用いた高精度線量分布データの収集、およびRPLD読み取り値から皮膚透過線量を算出するための標準化手法の確立を行なった。今後、8-OHDG定量、および前向き臨床研究の実施予定である。
3: やや遅れている
皮膚透過線量を算出するための標準化手法の確立において、当初の予定以上の症例数を要した。
今後、8-OHDG定量、および前向き臨床研究の実施予定である。
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Radiation Measurements
巻: 46 ページ: 2103-2106