本研究の目的は、新しく開発した癌細胞初代培養系(Cancer Tissue Originated Spheroid法;CTOS法)を用いて放射線感受性試験を行い、放射線治療効果を予測するためのCTOS評価系を確立して、個別化診療へつなげることである。 平成22年度は、肺がん臨床検体を用いてCTOS培養系の確立、および放射線感受性試験を実施した。In vitro放射線感受性試験を行った結果、CTOSサンプル間で放射線感受性に差が認められたため、nudeマウスへCTOSを移植してin vivoの放射線感受性試験を実施した。その結果、in vitroの放射線感受性はin vivoの治療応答性をよく反映していることが示された。 さらに、放射線照射後のリン酸化H2AXのターンオーバーをウエスタンブロットで検出し、DNA損傷と放射線感受性を比較した。その結果、放射線感受性の高いCTOSの方がpH2AXの発現が継続しており、CTOSの放射線感受性がDNA損傷の継続を反映していることが示唆された。 今後は、CTOSの三次元構造を利用した低酸素と放射線感受性の検討、および放射線増感剤の評価のためのプラットフォーム作りを検討する。
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